小泉八雲の妻・小泉セツの数奇な生涯|朝ドラ『ばけばけ』の原点

小泉八雲の妻・小泉セツの数奇な生涯|朝ドラ『ばけばけ』の原点

小泉八雲の妻・小泉セツの数奇な生涯|朝ドラ『ばけばけ』の原点にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

二人の出逢いは1891年(明治24年)の松江。当初、セツは家政婦のような立場で八雲の身の回りの世話をしていましたが、八雲は彼女の凛とした佇まいや細やかな気配り、純粋な心根に深く魅了されていきました。同年のうちに二人は生活を共にし始め、後に正式な婚姻関係へと発展します。

興味深いのは、当時の二人のコミュニケーション事情です。小泉セツは英語が話せない日本人女性であり、八雲もまた来日直後で日本語の日常会話すらままならない状態でした。文明開化の時代にあっても、極めて珍しい国境を越えたカップルでしたが、二人は障壁に屈しませんでした。

二人が編み出したのは、文法にとらわれず、知っている単語と身振り手振りを組み合わせた独自の共通語、通称「ヘルンさん言葉」でした。「ヘルン」とは、ハーン(Hearn)の発音を聞き取った松江の人々が呼んだ愛称です。辞書には載っていない二人だけの言葉を紡ぎ出すことで、互いの意志を通わせ、むしろ言葉数が限られているからこそ、深い感情のやり取りと強い信頼関係を築き上げていきました。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。