日産マーチスーパーターボの狂気と中古相場|過激な伝説を追う

日産マーチスーパーターボの狂気と中古相場|過激な伝説を追う

日産マーチスーパーターボの狂気と中古相場|過激な伝説を追うにまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

マーチスーパーターボの心臓部に収まるのは、専用開発された直列4気筒SOHCのMA09ERTエンジンです。ベースとなったMA10E型(987cc)からボア径を縮小し、排気量を930ccへとダウンサイジング。ここに投入されたのが、低回転域を担うルーツ式スーパーチャージャーと、高回転域を受け持つターボチャージャーを直列に繋いだ「ダブル過給システム」でした。

そのメカニズムは極めて緻密かつ大胆です。アイドリング直後からの低速域では、電磁クラッチで駆動されたスーパーチャージャーが瞬時に過給圧を立ち上げ、小排気量エンジン特有のトルク不足を完全に解消します。エンジン回転数が約4,000rpmに達すると、排気エネルギーによって十分に回転を上げたターボチャージャーが本領を発揮。同時にバイパスコントロールバルブが開き、スーパーチャージャーのクラッチが切り離されて過給がターボ単独へとシームレスに切り替わります。

現在でこそ欧州車などでダウンサイジング過給の電子制御複合システムは見られますが、当時はアナログ制御と負圧アクチュエーターを複雑に張り巡らせたバキューム配管によって作動させていました。最高出力110ps/6,400rpm、最大トルク13.3kg・m/4,800rpmというスペックは、車重770kg(5速MT仕様)のボディにはあまりに強烈でした。過給がスーパーチャージャーからターボへとバトンタッチする瞬間の独特の吸気音と、背中を蹴飛ばされるような怒涛の加速フィールは、内燃機関エンジニアリングの金字塔と呼ぶにふさわしい仕上がりを誇ります。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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