家具が勝手に動いたり食器が割れたりする「ポルターガイスト」や、不気味な顔が写り込む「心霊写真」についても、現場検証と技術解析によって物理的・心理的要因が暴かれています。
ポルターガイスト現象の原因として頻繁に報告されるのは、建物の構造欠陥や自然現象です。水道管の急激な圧力変化によるウォーターハンマー現象は、まるで壁を内側から激しく叩くようなラップ音を発生させます。また、微小な地盤沈下や風圧による家屋の歪み、静電気の蓄積によって、軽量な物体が不意に滑り落ちる現象も確認されています。海外の調査機関が行った現地検証では、報告された怪奇音の99%以上が配管、小動物の侵入、木材の温度伸縮による熱膨張音で説明がついています。
心霊写真の仕組みと見分け方においては、光学的要因と脳の認知機能が密接に関わっています。代表的なのが、3つの点や逆三角形の配置を見ると人間の脳が無意識に人の顔として認識してしまうパレイドリア現象(シミュラクラ現象)です。暗がりや茂みの陰、壁のシミが顔に見えるのは、外敵を素早く察知するために発達した人類の進化心理学的プログラムに過ぎません。
また、カメラ技術の進化に伴い、心霊写真のパターンも変化しました。かつてのフィルム時代に見られたオーブ(光の玉)は空気中のチリや雨粒がフラッシュに反射したものであり、赤く透けた手足は二重露光によるものでした。最新のスマートフォンでは、マルチフレームHDR合成やナイトモードの長時間露光中に被写体が動くことで生じるゴースト現象(半透明のブレ)が、心霊写真と誤認される事例が急増しています。
近年では「量子力学と幽霊」を結びつけ、量子もつれや多世界解釈を心霊の根拠に仕立て上げる言説も見受けられます。しかし、ロジャー・ペンローズとスチュワート・ハメロフが提唱した「意識の量子起源(Orch-OR理論)」などの死後の世界の最新研究を検証しても、脳の微小管で起きる微細な現象が死後に個人の記憶や性格を保ったまま空間に残留することを示す理論的・実験的根拠は確立されていません。専門用語の恣意的な拡大解釈には十分な注意が必要です。