検索エンジンに打ち込まれる「ピースボート やりまくり」という直接的すぎるフレーズの裏には、閉鎖的な洋上空間に対する世間の強烈な覗き見趣味と、ネット掲示板発祥の都市伝説が絡み合っています。約100日間、数百人から千数百人規模の乗客が同じ船内で生活を共にする環境は、陸地から隔絶された「超巨大な密室」です。この特殊な状況が、ネットユーザーの妄想を掻き立てる格好の土壌となってきました。
大手ネット掲示板やSNSの投稿を時系列で遡ると、この言葉が頻繁に語られるようになった背景には、かつて参加した若者がブログや体験談で語った「船内はあいのり状態」「毎晩のようにどこかで告白や男女のいざこざが起きている」という生々しい証言があります。日常の人間関係から完全に切り離され、青い海と異国の港町を巡る高揚感の中で男女の距離が急速に縮まる様子が、伝言ゲームのように誇張され、「見境のない性関係が横行している」という極端な言説へ変質していったのがピースボート噂の真相における構図です。
また、ピースボートは一般的な高級クルーズ客船(飛鳥Ⅱなど)とは異なり、若者がポスター貼りによって運賃の割引を受けられるボランティアスタッフ制度を採用しています。これにより、一般的な豪華客船には存在しない「お金はないが時間と体力がある20代〜30代の男女」が一定数乗り合わせることになり、若者特有の熱気と濃密なコミュニティが形成されます。この若者文化の熱量が、外部から「自制心を失ったカオスな空間」として面白おかしくラベリングされた側面は否めません。