2011年10月、日本中を揺るがしたNEWS脱退の真相とソロ活動専念の背景には、積年の活動形態の限界がありました。
NEWSはデビュー以降、メンバーの不祥事による脱退や無期限のグループ活動休止など、幾度もの荒波に見舞われました。その間、山下はソロとして映画『あしたのジョー』への過酷な肉体改造を伴う挑戦や、アジアツアーを成功させていました。グループが足踏みを強いられる中、山下は「このままでは全員が共倒れになる」「個人としてもっと新しい表現や海外に挑戦したい」という渇望を強めていきます。また、同じく関ジャニ∞とNEWSを兼任していた錦戸亮もスケジュールの逼迫から限界に達しており、二人が同時にグループを離れる決断を下したことで、4人体制への移行が決まりました。山下の脱退は決して無責任な投げ出しではなく、「グループの看板を背負い続ける重圧から解放され、表現者として退路を断つための苦渋の決断」だったのです。
時を経て2020年、ファンを大いに沸かせたのが「修二と彰」の再来となる「亀と山P」の本格始動でした。ドームツアーとオリジナルアルバム『SI』の発売が発表され、まさに平成から令和を跨ぐ一大プロジェクトとなるはずでした。しかし、この企画は突如として幻に終わります。
公式発表と当時の報道を照らし合わせると、亀と山Pアルバム中止理由には二重の要因が存在します。第1の要因は、2020年春に本格化した新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックによるドームツアーの延期・中止です。そして第2の決定打となったのが、同年秋に山下がジャニーズ事務所を電撃退所したことでした。海外作品(ハリウッド映画『マン・フロム・トロント』など)への出演オファーが舞い込む中、事務所との契約満了を待たずに即座に出国を決断した山下の退所に伴い、権利関係の整理やプロモーションの継続が困難となり、ソニー・ミュージックエンタテインメントおよび事務所は同年12月、アルバム『SI』の発売中止を正式にアナウンスしました。長年待ち望んだファンにとっては痛恨の結末となりましたが、ここにも「世界を目指す個人の意志」と「巨大組織のスケジュール」の決定的な乖離が表れていました。