外部から閉ざされたコンクリートの壁の向こうでは、どのような時間が流れているのか。元受刑者の手記や矯正関係者の証言から浮かび上がるのは、私たちが日常で享受している「自由」が完全に剥奪された極限の分刻みスケジュールです。
平日の起床は午前6時50分。起床ラッパとともに一斉に跳ね起き、わずか数分で寝具を寸分の狂いもなく畳み、身だしなみを整えます。整列、点呼、居室の掃海(清掃)を経て、7時20分頃に朝食。その後、8時前には工場へと行進します。廊下を歩く際も私語は一切厳禁であり、「イチ、ニ、イチ、ニ」という号令とともに直角に曲がる軍隊さながらの規律行進が求められます。
刑務作業は午前8時から午後4時40分まで(昼食・休憩を挟む)。居室に戻った後も、点呼、夕食、わずかな余暇時間を経て、午後9時には完全消灯となります。一日の大半は監視カメラと刑務官の鋭い視線に晒され、不正な物品の受け渡しや私語、視線の動かし方一つで厳しい調査・懲罰の対象となります。
内部の生活実態を如実に物語るのが、受刑者たちの最大の関心事である「食事」です。食事は主食である「麦飯(米7:麦3または米6:麦4)」と、管理栄養士によって綿密に計算された副食で構成されます。1日の総摂取カロリーは運動量や体格に応じて約2,200〜2,600kcalに厳格にコントロールされており、塩分や脂質も極限まで抑えられています。
「入所当初は味の薄さと麦飯の独特な匂いに戸惑ったが、数か月も経つと味覚が研ぎ澄まされ、たまに出る揚げ物やカレーが涙が出るほど旨く感じられた」
当時の様子を綴った手記には、そうした生々しい告白が残されています。正月にはおせち風の特別食、祝日には小さな菓子類が支給されるものの、嗜好品としての間食や夜食は皆無。外の世界でジャンクフードや乱れた食生活を送ってきた若者たちにとって、この徹底した健康管理は、自らの身体と生活リズムを強制的にリセットされる洗礼となります。