外資系企業の実務現場や法務関係者の証言によると、ビジネス文書において「do not」が選ばれる最大の理由は「曖昧さの完全な排除」にあります。アポストロフィ(')を含む短縮形は、印刷の掠れやデジタルデータのフォーマット変換時に欠落・誤認されるリスクがゼロではありません。そのため、責任の所在を明確にする契約条項では「The Company shall not / does not...」のように非短縮形が鉄則とされています。
また、文頭に「Do not」を置く否定の命令文(禁止命令)では、その効力は最大級になります。
・Do not enter.(立ち入り禁止:敷地侵入に対する法的警告)
・Do not touch.(手を触れるな:展示物や危険物への厳格な指示)
SNSや海外のQ&Aフォーラム等でも「職場の掲示に『Don't touch』と書かれていたら親切な注意に見えるが、『Do not touch』は違反時に処罰されるような威圧感を感じる」というリアルな英語話者の声が多く見られます。ビジネスメールで取引先に依頼する際も、単に「Do not reply」と書くと「返信するな」という冷徹な命令になるため、「Please do not hesitate to contact us.(どうぞご遠慮なくご連絡ください)」のように「Please」を前置してクッションを持たせる構成が標準的なマナーです。