銀座4丁目の交差点からほど近い一角。朱色の看板を掲げるナイルレストランの歴史は、インド独立運動の志士であったA.M.ナイル氏の情熱から始まった。当時、日本で親しまれていたカレーといえば、小麦粉とカレー粉を油で炒めた欧風のカレーライスが主流だった。
そこに持ち込まれたのが、スパイスを独自の比率で調合した本格的なインド料理である。「日本人の体質に合い、かつ本物のインドの味を届けたい」という信念のもと、油分を極力抑え、滋味深い素材の旨味を引き出す調理法が確立された。彼が蒔いた種は、やがて日本のスパイス産業全体を刺激する巨大なうねりへと成長していった。