なぜ彼らは特定の属性ばかりを名乗るのでしょうか。そこには人間の心理的隙間を突く、冷酷な計算が働いています。
女性をターゲットにする場合、最も多用されるのが国際ロマンス詐欺の軍人画像です。米軍や国連平和維持部隊の制服を着用した男性の写真は、規律正しさ、誠実さ、勇敢さを直感的に連想させます。さらに「軍の機密保持規則のためビデオ通話が制限されている」「戦地にいるため銀行口座が凍結されている」という、後の金銭要求や対面拒否に向けた強固なアリバイ作りとしても機能します。
同様に多用される国際ロマンス詐欺の医師プロフィールも巧妙です。「国境なき医師団」やシリアの野戦病院に派遣されていると称し、聴診器を首にかけた白衣姿の画像を送信してきます。知性と人道支援への献身というイメージは、ターゲットの道徳的信頼を無条件に引き出してしまう危険性を孕んでいます。
一方で、男性被害者を狙うケースでは国際ロマンス詐欺の美女写真悪用が主流です。Instagram、小紅書(RED)、台湾や韓国のモデルの公開アカウントから私生活の画像を大量にスクレイピングし、あたかも自立した裕福な独身女性であるかのように装います。高級外車、ブランド品、五つ星ホテルのラウンジで撮影された写真は、経済的自立をアピールして「自分はお金目当てではない」と誤認させる心理トラップとして機能しています。
さらに信憑性を補強するため、国家機関発行の身分証明書や国際ロマンス詐欺の偽造パスポート画像を送信してくる実例も増えています。一見すると公印や顔写真が正規のものに見えますが、フォントの不一致や顔写真の境界線に合成痕跡が残っているケースが大半です。