愛犬が特定部位を執拗に舐め続ける場合、そこには明確な生理的・心理的なトリガーが存在します。獣医師の診察現場で最も多く報告される犬が足をなめる理由は、局所的な痒みや痛み、そして退屈や不安から生じる情動の変化です。
臨床データにおいて特に警戒すべき疾患として挙げられるのが犬のアレルギー性皮膚炎です。食物アレルギーやハウスダスト・花粉などを原因とする環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)を発症すると、毛細血管が多く皮膚の薄い足先や指の間に強い痒みが生じます。アトピー性皮膚炎を持つ個体では、犬の外耳炎と足を舐める行動がセットで現れる頻度が約65〜70%に達するという臨床報告もあり、耳の汚れや頭を振る仕草と連動していないかを確認することが極めて重要です。
さらに、散歩中の異物刺入(小石や植物の種子)や、足の指の間に細菌・マラセチア酵母が異常増殖する犬の指間炎の症状も見逃せません。指の間の皮膚が赤くただれ、独特の発酵臭を放つようになると、強い不快感からさらに舐め壊してしまう悪循環に陥ります。