行政や経営面での混迷とは対照的に、研究現場から打ち出される成果は目を見張るものがある。テレビの父・高柳健次郎博士の薫陶を脈々と受け継ぐ浜松キャンパスの電子工学研究所は、2026年も次世代半導体や量子センシング分野で世界的な脚光を浴びている。特に次世代車載用パワー半導体や、超高感度イメージセンサーの開発においては、大手電機メーカーや海外研究機関との共創プロジェクトが絶え間なく稼働中だ。
「政治的な混乱があろうと、僕たちの実験が止まるわけではありません」。研究室で深夜までシリコンウェハと向き合う大学院生は笑う。最先端の光医工学領域でも、癌の超早期発見を可能にする画像診断技術が実用化へと近づいており、産業界からの投資意欲は衰えていない。こうした揺るぎない研究資産こそが、この大学が持つ最大の生命線と言えるだろう。