かつては国内の過激派や宗教団体監視が主眼だった公安調査庁の任務は、安全保障環境の構造変化に伴い劇的な転換点を迎えています。
最優先課題として浮上しているのが「経済安全保障」に関わる機微技術の流出防止です。半導体、量子技術、AI、バイオテクノロジーなど、軍事転用可能な最先端技術を保有する日本の大学研究機関や民間企業に対し、海外の工作機関が研究者の引き抜きや共同研究を装ってアプローチする手口が巧妙化しています。
公安調査庁は、毎年刊行する年次報告書『内外情勢の回顧と展望』において、外国勢力による技術獲得工作の具体的手口を公表するとともに、産学官へのリスク周知(アウトリーチ活動)を強化しています。さらに、重要インフラを標的としたサイバー攻撃の兆候把握や、ソーシャルメディアを通じた偽情報拡散(ディスインフォメーション)への対抗策など、デジタル空間におけるインテリジェンス機能の拡充が急ピッチで進められています。