今年の全国高等学校サッカー選手権大会秋田県大会は、戦前の予想を上回る波乱と感動の連続となった。決勝のカードは、近年の高校サッカー界を牽引するノースアジア大学明桜高等学校と、数々の伝説を築いてきた伝統校・秋田市立秋田商業高等学校。トーナメント表を駆け上がってきた両雄の決戦は、まさに意地と誇りがぶつかり合う死闘となった。
試合序盤からハイプレスを仕掛けたのは明桜だった。前線からの連動した守備で相手の自由を奪い、鋭いショートカウンターで幾度となく秋田商業ゴールを脅かす。対する秋田商業も、泥臭く体を張る伝統の粘り強い守備で決定機を阻止。一進一退の攻防が続き、後半残りわずかの局面で均衡が破れた。サイドからのグラウンダーのクロスに飛び込んだ明桜のFWが技ありの決勝ゴールを叩き込み、タイムアップの瞬間、歓喜の輪が広がった。
激闘を制し、見事に全国への切符を手にした若きイレブン。だが、その華やかな勝利の裏には、知られざるドラマがあった。怪我に泣き、今大会のピッチに立てなかった副主将が試合前夜、控え選手たちを集めて語った「俺たちの分まで走ってくれ」という言葉。涙を拭い、ピッチで泥だらけになって走り抜いた選手たちの絆こそが、劇的な勝利を引き寄せた最大の原動力だったのだ。