インターネット上の感想やレビューにおいて、本作は時として「哀しい結末で終わる悲劇」と要約されがちですが、それは大きな誤解です。本作のラストシーンが提示したメッセージは、絶望ではなく、徹底的な「生の肯定と希望」でした。
【あらすじと最終回の結末(ネタバレ)】
病状が進行し、自発呼吸が困難になっていく拓人は、人工呼吸器を装着するかどうかの最終決断を迫られます。人工呼吸器を装着すれば声を失い、自力で動くことは一切できなくなる一方、装着を拒否すれば死を意味します。「生きることに意味はあるのか」「周りの負担になるだけではないか」と思い悩む拓人。
しかし、母・佐和子や父・昭夫、弟・陸人と本音でぶつかり合って修復した家族の絆、守や陽菜の温かい支え、そして何よりも「拓人と一緒に生きたい」と願う恵の愛に触れた拓人は、「生きたい」という自らの真の願いに辿り着きます。
大学の講義棟の壇上で、拓人は車椅子から学生たちに向けて自らの半生と決意を語るスピーチを行います。「目標を持てば、どんな状況でも前を向ける」――。最終回では、人工呼吸器を装着し、視線入力パソコンを駆使しながら医学部で学び、新たな命の目標に向かって笑顔を見せる拓人と恵の姿が描かれました。
奇跡的な完治という安易なファンタジーに逃げることなく、過酷な現実を受け入れた上で「自分の意思で生きる選択」を全うした結末こそが、本作が10年以上色褪せない最大の理由です。