爪が青緑色や黄緑色に変色する現象の主な原因は、真菌(カビ)ではなく「緑膿菌」と呼ばれる細菌の増殖だ。緑膿菌は、私たちの生活環境のあらゆる場所に存在する常在菌の一種であり、決して特別な病原体ではない。しかし、湿気と酸素が適度に遮断された密閉空間を非常に好み、条件が揃うと爆発的に増殖して緑色の色素(ピオシアニンなど)を産生する特性を持つ。
特に危険なのは、この変色を単なる目立ちにくい汚れと決めつけて放っておくことだ。緑膿菌が爪の角質層で増殖を続けると、爪甲(爪の表面)と爪床(爪の下の皮膚)の接着が弱まり、「爪甲剥離症」という深刻な状態を引き起こすリスクが高まる。爪が浮いて皮膚から剥がれてしまうと、再生成までに何ヶ月もの歳月を要する。厚生労働省が発信する感染症予防の知見においても、皮膚や爪の微細な傷口からの細菌侵入に対する衛生管理の重要性が指摘されている。