節子氏の型破りな手法は、やがて業界内の旧態依然とした組織体制と衝突することになる。特に公益社団法人能楽協会との間では、公演スケジュールのダブルブッキング問題や宗家としての独立性を巡って激しい対立が勃発した。伝統を守るためのルールと、家を守るための突破口。両者の主張は平行線をたどり、最終的に退会処分という痛烈な結末を迎えることとなった。
しかし、その渦中にあっても勢いは止まらなかった。NHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で主演に抜擢された元彌の人気は頂点に達し、NHKをはじめとするテレビ局は連日彼らの動向を報道。狂言や能楽といった敷居の高い古典芸能が、お茶の間の話題を独占する社会現象となったのだ。業界の異端児として叩かれながらも、結果として狂言の知名度を飛躍的に高めた実績は否定できない。