東京ディズニーランドに誕生したファンタジーランドの新エリア。そこにそびえる「美女と野獣の城」の高さは約30mです。シンデレラ城の51mと比べると20メートル以上も低い設計になっています。
現地を丹念に歩くと、この21mの高低差が計算され尽くした空間演出を生み出していることに気づかされます。もし「美女と野獣の城」をシンデレラ城と同等クラスの50m級で建設してしまえば、ファンタジーランド内の限られた空間内で2大巨城が視界の中で干渉し合い、パークの主役たるシンデレラ城のアイデンティティが損なわれてしまいます。
そこでイマジニアが採用したのが、城の背後に霧が立ち込める険しい山々のモックアップ(人工岩山)を配し、山並みから城のタレットに至るまで徹底的なスケール縮小を施す手法です。現地に立つと、約30mの城が深い森の奥深くに忽然と現れたような幽玄な奥行きを感じさせます。
さらに見事なのは、パーク内の動線設計です。ワールドバザールを抜けた広場(プラザ)からはシンデレラ城が圧倒的な主役として君臨し、美女と野獣エリアへ足を踏み入れると木々や岩の絶妙な配置によってシンデレラ城が自然と視界から遮断される構造になっています。限られた敷地面積の中でゲストの没入感を途切れさせない、極めて高度な空間分割技術が発揮されています。