名曲『HOME』はいかにして産声をあげたのでしょうか。その背景には、若きアーティストが直面した厳しい現実と剥き出しの感情がありました。清水翔太『HOME』誕生秘話を紐解くと、地元である大阪から夢を追って単身上京した日々の葛藤が克明に浮かび上がります。
音楽スクールでゴスペルやソウルミュージックの基礎を叩き込まれ、才能を見出されて東京へ拠点を移したものの、待っていたのは大都会の冷たい風と強烈なホームシックでした。当時の特別番組インタビューや手記において、彼は「慣れない東京のアパートの一室で、家族や地元の仲間と離れた寂しさに押しつぶされそうだった」と述懐しています。
「どんなに離れていても、自分には帰る場所(HOME)がある」「支えてくれる大切な人たちを絶対に裏切らない」――その純粋で切実な祈りが、あの哀愁を帯びたメロディーと魂を揺さぶるリリックへと昇華されました。単なるノスタルジーにとどまらず、自らの足で過酷な現実を生き抜く決意表明であったからこそ、同世代のみならず幅広い世代の琴線に触れたのです。