育児情報サイトやSNSのコミュニティでは、「赤ちゃんは吐きやすい生き物」「機嫌が良ければ様子見で大丈夫」というアドバイスが頻繁に交わされています。しかし、この言説には重大な医療的盲点が潜んでいます。
肥厚性幽門狭窄症の初期段階においては、胃の内容物をすべて吐き出した直後、赤ちゃんは苦痛から解放されて一時的にケロッとした表情を見せることが多々あります。激しい空腹感からすぐに笑顔でミルクを欲しがるため、保護者は「機嫌が良いから病気ではないだろう」と誤認して受診を先延ばしにしてしまいがちです。しかし、体内には水分が一切吸収されていないため、水面下で電解質異常と脱水が刻一刻と進行します。
また、「母乳やミルクを飲ませ直せば栄養は補える」という考えも危険です。幽門が狭窄している状態での再授乳は、すでに炎症を起こしかけている胃壁をさらに拡張させ、次回の嘔吐をより激化させる悪循環を招きます。単発の吐き戻しであれば問題ありませんが、授乳のたびに毎回噴水状に吐く状態が丸一日続く場合は、「機嫌の良し悪し」に関わらず専門医の診察を受けるのが鉄則です。