高相祐一という一人の男の人生は、日本の薬物対策における大きな課題を突きつけている。日本では、薬物使用者は「犯罪者」として厳しく処罰されるが、治療が必要な「患者」としてのケアは極めて不十分だ。刑務所と社会を往復するだけの司法システムでは、根本的な解決には至らない。
海外では、薬物依存を脳の病気と捉え、処罰よりも治療を優先する動きが主流になりつつある。日本でもようやく民間リハビリ施設(ダルクなど)の重要性が認知され始めてきたが、社会の偏見は根強く、一度レッテルを貼られた者が社会復帰するのは容易ではない。彼の度重なる逮捕は、こうした社会の受け皿の脆弱さをも物語っている。