みかんの剪定で失敗しないための黄金原則は、「切り戻し剪定」ではなく「間引き剪定(透かし剪定)」を主体にすることです。枝の途中で切断する切り戻しを行うと、その切断面から強い枝が何本も噴き出して樹形が乱れます。一方、不要な枝を「付け根(分岐部)のキワ」から切り落とす間引き剪定を行えば、残した枝に無理なく養分が巡り、落ち着いた花芽が育ちます。
具体的に切り落とすべき「不要枝(忌み枝)」には明確な優先順位があります。剪定作業に入る際は、以下の順番でハサミを入れていきます。
- 枯れ枝・病害虫枝:見つけ次第、健康な緑色の組織が見える部分まで深く切り戻す。
- 徒長枝(とちょうし):天に向かって真上に勢いよく伸びる太い枝。トゲが多く葉ばかりが茂るため、発生母点(付け根)から段差を残さず切除する。
- 下垂枝(かすいし):地面に垂れ下がった枝。泥はねによって土壌中の菌が付着しやすく、日陰になるため基部から間引く。
- 交差枝・重なり枝:他の枝と擦れ合って傷をつくる枝や、上下で完全に日陰を作っている枝のどちらか一方を元から切る。
- ふところ枝(内向枝):樹冠の内部、幹の方向へ向かって逆向きに伸びる弱々しい枝。
特に多くの栽培者を悩ませるのが「徒長枝の切り方」です。勢いが強いため「これだけ立派なら実がたくさんつくのでは」と勘違いされがちですが、徒長枝は栄養成長(木自身を大きくする成長)に養分を全振りした枝であり、生殖成長(花や実をつける成長)には寄与しません。放置すると周囲の健全な枝から日光とリン酸成分を奪い尽くしてしまいます。徒長枝は途中で切るとさらに暴れるため、「枝の生え際にハサミを密着させ、平らに切り落とす」のが鉄則です。
目指すべき完成形は、樹の中心部に太陽の光が差し込み、どの葉にも木漏れ日が行き渡る「開心自然形(オープンセンター・傘型)」です。樹の内部に立ったとき、青空がチラチラと透けて見える程度の枝密度(葉の量にして約20〜25%の間引き)に仕上げることが、糖度の高い極上のみかんを生み出す秘訣です。