この作品が群を抜いて評価された最大の要因は、徹底的な「本物志向」にある。劇中に登場する数々の息をのむメニューを手掛けたのは、実在するミシュラン三つ星フレンチの名店『カンテサンス』の岸田周三シェフだ。見た目の華やかさだけでなく、火入れの秒単位のこだわりや素材の組み合わせに至るまで、一切の妥協が排除された。
木村拓哉自身も撮影前から過酷な調理トレーニングを重ね、プロ顔負けの手さばきを完全に体得した。代役を使わずに自らの手で魚を捌き、肉を焼き、ソースを一筋の乱れもなく引く。その指先から滴る真実味が、フィクションの枠を超えた説得力を料理の一皿一皿に宿らせていた。