ネット上で特に根強く流布されているのが、「日航機事故における火炎放射器使用デマ」です。この説を唱える人々は、「遺体の一部が炭化するほどの激しい燃焼は、一般的な航空燃料による火災では説明がつかない。自衛隊が火炎放射器で焼き払った証拠だ」と主張します。
しかし、航空機の火災および法医学の基礎知見に照らし合わせれば、この主張がいかに無理のある妄想であるかは明白です。
ジャンボジェット機ボーイング747SRは、東京から大阪へ向かうフライトであったものの、満タンに近い状態および予備燃料を含め、墜落時に推定約2万ポンド(数万リットル)超の航空燃料(Jet A-1)を積載していました。航空用ケロシン系燃料は極めて燃焼カロリーが高く、急峻なスゲノ沢の窪地というすり鉢状の密閉空間に大量の燃料が流入したことで、現場の火勢は1,000度を超える長時間の超高温火災となりました。
当時、現場で過酷を極める遺体の検視や身元確認にあたった元群馬県警察医会長や東京大学・群馬大学法医学教室の教授陣による綿密な検案記録が残されています。遺体の多くに見られた死因は「全身打撲・挫滅による即死」「ショック死」であり、激しい損傷とともに航空燃料特有の燃焼によって炭化が進んでいました。火炎放射器などの軍用兵器特有の化学的燃焼物質(ナパーム燃料残渣など)は一切検出されておらず、法医学的見地からも火炎放射器説は100%否定されています。