物理学における波の位相とは、周期的に繰り返される振動運動の中で「今、その波がどの瞬間(状態)にあるか」を角度(0度〜360度、または0〜2πラジアン)で表したものです。物理の授業で波をサインカーブ(正弦波)として教わるため難しく見えますが、身近な回転運動や振り子に置き換えると一気に視界が開けます。
時計の秒針を思い浮かべてください。12時の位置を「スタート地点(0度)」とすると、3時の位置は「サイクルの4分の1(90度)」、6時の位置は「折り返し地点(180度)」、9時の位置は「サイクルの4分の3(270度)」、そして再び12時に戻ると「1周期完了(360度)」となります。波の運動もこれと完全に同じです。山に向かってせり上がっている最中なのか、山の頂上にいるのか、谷底へ落ち込んでいる最中なのか。その「波の進行状態における座標」こそが位相の正体です。
そして、2つの波を比較したときに生じるタイミングのズレを指す言葉が位相差とは何かという問いの答えです。たとえば、2人の子どもが隣り合ってブランコを漕いでいる場面を想像してみましょう。2台が全く同じタイミングで前後に揺れているなら「ズレはない」状態です。しかし、片方が最高到達点に達した瞬間にもう片方が最下点を通過しているなら、そこには明確なタイミングの食い違いが生じています。この時間的・位置的なズレの度合いを、角度の単位(度やラジアン)を使って客観的に数値化したものが「位相差」や電気工学における位相角です。