華やかなスポットライトを浴びる芸能界から、批判の矢面に立たされる政界へ。八幡愛の政界進出の理由について、単なる話題作りや議員バッジ目当ての転身と色眼鏡で見る向きは少なくありませんでした。しかし、本人が語る動機は極めて個人的かつ社会的な痛みに根ざしています。
決定的な契機となったのは、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故でした。当時、関西でタレント活動を行っていた彼女は、報道される情報と現場の乖離、そして非正規雇用や社会的弱者へ押し付けられる構造的暴力に強い違和感を覚えたと述べています。自らの手記や演説において、「テレビの現場で笑顔を作りながら、社会の底が抜けていくような現実に声を上げられない自分に耐えられなくなった」と吐露しています。
単なる義憤で終わらせなかった点が彼女の特異性です。自身の学歴・出身校をアップデートすべく、2019年4月に早稲田大学人間科学部人間環境科学科eスクール(通信課程)へ入学。働きながら学問として環境問題や格差社会のメカニズムを学び直す道を選びました。この「理論と現場感覚の統合」を進めていた時期に出会ったのが、山本太郎率いるれいわ新選組です。同党の掲げる徹底的な弱者救済と反緊縮のスタンスに共鳴し、2020年11月に衆議院議員総選挙の公認候補予定者として名乗りを上げることとなりました。
さらに見逃せないのが、実母である「やはたオカン」(本名:八幡さゆり・兵庫県尼崎市議会議員)の存在です。母が地域に根ざした草の根の政治活動を展開する背中を間近で見て育ったことは、政治を「特権階級のもの」ではなく「生活者の道具」として捉える強力な素地となりました。グラビアで培った見せる力と、泥臭い市民運動の熱量が合流した結果が、彼女の政界進出だったと言えます。