一見するとコミカルな組体操に見えてしまうガンダムNTのキービジュアルポーズですが、制作陣が意図した構図の真相は極めてシリアスで神秘的なものでした。
物語の根幹にあるのは、幼少期に「奇跡の子供たち」と呼ばれ、過酷な人体実験と戦争の荒波に引き裂かれたヨナ、ミシェル、リタの3人の絆です。宇宙世紀0097年を舞台にした本作では、肉体を失い魂だけの存在(ユニコーンガンダム3号機 フェネクス)となったリタを中心に、過去の罪悪感に苛まれるミシェル、そして彼女たちを追い続けるヨナの精神的な交差が描かれます。
作画監督やデザイナー陣が意図したのは、無重力の宇宙空間(あるいは精神世界)において、「3人の魂が互いに支え合い、決して切り離せないひとつの存在として結びついている状態」の可視化でした。肉体的な距離や生死の壁を越えて絡み合う運命の糸を表現した結果が、あのアート性の高い多重ポーズだったわけです。
劇中の切実なストーリーを知った後に改めてポスターを見返すと、滑稽に見えたポーズが「互いを求め合いながらもすれ違う悲劇の象徴」へと意味合いを変える点こそ、本作のビジュアルが持つ恐るべき引力と言えます。