彼の音楽人生は、決して平坦なエリートコースではなかった。2008年、ロックバンド「Peaky SALT」のボーカル・ユウとしてメジャーデビューを果たした際、彼は両親の存在を完全に伏せて活動を開始した。親の七光りを拒絶し、己の実力一本で勝負しようとしたのだ。
しかし、メディアによって出自が報じられると、音楽そのものよりも血筋ばかりに世間の注目が集まるという過酷な現実に直面する。バンドの活動休止、試行錯誤の歳月。厳しい荒波が渦巻く音楽業界のなかで、歌う場所を失いかけた時期もあった。それでも彼は歌うことを諦めなかった。ソロアーティストとして再起を図り、全国各地のショッピングモールや小さなライブスペースを回りながら、観客一人ひとりと目を合わせて歌声を届ける地道な日々を選んだのだ。