藤田まことさんの晩年は、度重なる病魔との過酷な戦いの日々でもありました。ことの発端は2008年5月、定期検診で初期の食道がんが発見されたことに始まります。当時、芸能界屈指のヘビースモーカーかつ愛酒家として知られていた藤田さんにとって、喉や食道の疾患は役者生命に関わる重大事でした。
しかし、藤田さんは一切弱音を吐くことなく左肺の一部を切除する大手術と抗がん剤治療に耐え抜きました。驚異的な精神力で同年秋には仕事復帰を果たし、ドラマ『必殺仕事人2009』の現場では再び中村主水としての凛とした殺陣を披露。ファンや関係者を大いに安堵させたのです。
ところが、長年の喫煙習慣が引き起こした慢性閉塞性肺疾患(COPD)が次第に体力を奪っていきます。2009年秋には主演予定だった舞台『剣客商売』を無念の降板。自宅療養とリハビリを続け、「もう一度ファンの前で芝居をしたい」と執念を燃やしていた矢先に、血管の爆弾とも呼ばれる大動脈瘤の破裂が襲いました。