ウィーンの劇場事情を調べる旅行者が最も陥りやすい落とし穴が、劇場の種別と演目の混同です。検索クエリでも頻繁に見受けられる「オペラ座の怪人ウィーン公演情報」ですが、アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲の世界的メガヒット・ミュージカル『オペラ座の怪人(Das Phantom der Oper)』は、ウィーン国立歌劇場では絶対に上演されません。
ウィーンにおいてミュージカル作品を統括上演しているのは「ウィーン劇場協会(VBW)」であり、ライムント劇場(Raimund Theater)やローナッハー劇場(Ronacher Theater)といった専門のミュージカル劇場です。オペラ座の怪人はこれらの劇場でドイツ語版の特別プロダクションとして周期的に上演されるものであり、国立歌劇場のチケット売り場に足を運んでも購入できないため十分な注意が必要です。
また、旅の計画を立てるうえで欠かせないのがウィーンフォルクスオーパーとの違いを正しく認識することです。両劇場の特徴は明確に棲み分けられています。
・ウィーン国立歌劇場(シュターツオーパー):世界屈指のトップスター歌手、巨匠指揮者が集結するグランド・オペラとクラシック・バレエの殿堂。原語上演(イタリア語、フランス語、ドイツ語等)が原則で、格式と芸術的深遠さを極限まで追求する空間。
・ウィーン・フォルクスオーパー(国民劇場):ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり』やレハールの『メリー・ウィドウ』に代表されるオーストリア伝統の「ウィンナ・オペレッタ」や名作ミュージカルを主軸とする市民歌劇場。舞台と客席の距離が近く、リラックスした雰囲気の中で親しみやすく芸術を楽しめる空間。
ネット上の口コミを分析すると、ウィーンオペラ座の評判とネットの反応には「世界最高のオーケストラと歌手陣に鳥肌が立った」という絶賛がある一方で、「3階席の見切れが激しく舞台の半分しか見えなかった」「前衛的すぎる現代風演出(レジテアター)で物語の世界観に入り込めなかった」という率直な意見も見られます。古典的な豪華衣装による伝統演出を好むのか、現代社会を批評する斬新な解釈を許容できるのか、演目ごとのプロダクション情報を事前にリサーチしておくことが満足度を左右します。