サクの状態まで美しく整えたら、いよいよ刺身の命である「切り」の工程に入ります。アジの刺身において主流となるのは「平造り(ひらづくり)」と「そぎ切り」の2大技法です。これらは単なる見た目の違いにとどまらず、舌触り、脂の広がり方、醤油の乗り具合に至るまで全く異なる食体験を創出します。アジ刺身そぎ切りと平造りの違いを体系的に理解することで、アジのサイズや脂の乗り具合に合わせた最適なアプローチが可能になります。
平造りを行う際は、サクの右端から包丁の刃元を当て、刃先まで滑らかに引きながら垂直に切り落とします。切り身の角が鋭利に立ち、断面が潰れていない状態が理想的です。一方のそぎ切りは、サクの左端から包丁を大きく寝かせて削ぐようにスライスし、包丁の刃先を使って左へ送り出すように並べます。身の厚みにムラがあるアジでも、そぎ切りを用いれば一定の食感を均一に引き出すことが可能です。