力士の母としての役割は、食事の用意だけにとどまらない。常に怪我と隣り合わせで、精神的にも極限状態に置かれる息子をどう支えるか。純子さんは、あえて土俵の技術的なことには口を出さず、家庭を「息子が心から休める場所」にすることに徹したという。
どんなに苦しい敗戦の後でも、温かく迎え入れ、次の戦いに向かうための活力を与える。彼女の穏やかな微笑みは、貴景勝にとって何よりの精神安定剤だったに違いない。あの凛とした客席での佇まいは、息子に「私は大丈夫だから、あなたは自分の相撲に集中しなさい」という無言のメッセージを送っていたのだ。