司が建国した「司帝国」の根底にあったのは、単なる世界征服ではなく、純粋な若者たちだけで築く原始共産制的なユートピアの創造でした。科学文明が復活すれば、再び土地の所有権や金銭、身分制度が生まれ、富める者が貧しい者を支配する世界に逆戻りしてしまう。司はその悲劇を防ぐため、既得権を持つ腐敗した大人たちの石像を進んで破壊(間引き)し、若者のみを選別して復活させるという過激な思想を実行に移しました。
全人類78億人の無条件救済を絶対の正義とする石神千空と、選別による純粋世界の創出を信じる獅子王司。2人の哲学は決定的に対立し、司は千空の天才的な頭脳が科学を甦らせることを危惧して、序盤で千空の首筋を打擲し「苦痛なき処刑」を行いました。
しかし、この対立は憎悪によるものではありませんでした。司は千空の気高さと知性を誰よりも深く敬愛しており、作中で残した「君を殺すのが僕で良かった。他の誰も君の首筋をこんなに苦痛なく一瞬で折ることはできない」という言葉や、「千空、君と3700年前に出会えていれば、最初の友人になれていたかもしれない」という独白は、相容れない理想を抱えた2人の魂の共鳴を象徴しています。