大会期間中、日本国内およびSNS上では結果に対して一部で極端な論争が見受けられました。「ベスト8止まりだから前回の2019年大会(ベスト16)と大差ない」「強豪スウェーデンには力負けだった」といった懐疑的な声が上がる一方で、現地の戦術専門家や海外メディアの評価は真逆でした。
海外サッカーメディア『The Athletic』や『L'Équipe』は、なでしこジャパンの「5-4-1」から「3-4-3」へ可変するシステマチックな守備ブロックと、プレッシングトラップからの高速カウンターを「大会で最も洗練されたコレクティブフットボール」と絶賛。データ会社Optaのスタッツ分析でも、日本代表のゴール期待値(xG)に対する決定率および守備時のプレス成功率は出場32カ国中トップクラスを記録していました。
「単にベスト8で終わったチーム」と捉えるのは明らかな誤認です。優勝したスペインに唯一土をつけ、得失点差+12という数字を残したなでしこジャパンは、名実ともに大会をリードした最強チームの一角でした。この確固たる戦術的自信は、その後のパリオリンピックや世代交代を進める日本女子サッカー界の貴重な財産となっています。
【プロの結論】女子サッカー観戦を深めるためのチェックポイント
2023年大会以降の女子サッカーは、単なるフィジカルや個の能力勝負から、緻密なポジショナルプレーとトランジションのスピードを競う高度な戦術合戦へと進化しました。今後の国際試合やWEリーグ、海外主要リーグを観戦する際は、以下の視点を持つことでより深い面白さを体感できます。
▼ 今後の試合観戦における着眼点:
・欧州クラブへの移籍動向:宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)、長谷川唯(マンチェスター・シティ)ら、欧州強豪クラブで主力として活躍する日本人選手の適応力と進化。
・ハイプレスに対するビルドアップ構造:スウェーデン戦のような高さを活かしたプレッシングに対し、中央を経由してどのようにプレスを無力化できるか。
・女子フットボールのフィジカル基準:スプリント回数とデュエルの強度が男子トップレベルの基準に急速に近づいている点。