イタリア北部の豊穣な食文化を象徴するエミリア=ロマーニャ州郷土料理。その代表格こそが、現地で「ラグー・アッラ・ボロネーゼ」と呼ばれる料理だ。19世紀後半、食通として知られるペッレグリーノ・アルトゥージが著書に記録したレシピが現代ボロネーゼの基礎を築いたとされる。
本場のボロネーゼは、煮込み料理というよりも「肉の焼き物」に近い。1982年、イタリア料理アカデミーとボローニャ商工会議所は、伝統的なボロネーゼの公式レシピを公的に登録した。そこには赤ワイン、粗挽きの牛肉、豚肉、パンチェッタ、わずかなトマトペースト、そして牛乳で煮込む手順が厳格に定められている。トマトの酸味で食べるのではなく、時間をかけて引き出した肉の旨味を噛みしめる料理なのだ。