最高BPM240という超高速テンポのなかで展開される終盤のボーカルパートは、初聴では人間の耳で捉えきれないほどの情報密度を誇る。圧縮された時間のなかで「アリガトウ…ソシテ…サヨナラ」と零れ落ちるフレーズは、文字通りデータの消去=死へと向かう秒読みのプロセスそのものだ。息継ぎすら存在しない超絶技巧の音列は、人間には不可能な歌唱をあえてプログラミングすることで、バーチャルシンガーという存在の特異性を極限まで際立たせている。
難解な言葉の連射を文字として書き起こしたときに見えてくるのは、冷徹なシステムエラーと、そこに宿ってしまった感情の激しい衝突だ。歌詞カードを目で追いながら音声を同時に浴びることで初めて、聞き取れなかった断片的な言葉たちが一本の途切れない魂の叫びとして像を結ぶ。