日本のメディア史を紐解くと、共感をエンタメの主役に据える手法はテレビ黄金期に確立された。かつてフジテレビ系列で爆発的な視聴率を記録した『発掘!あるある大事典』は、日常の健康や生活習慣をテーマに「あるある」を情報番組のフォーマットへ落とし込んだ金字塔だ。身近な疑問を科学とエンタメで検証するスタイルは、全国のお茶の間を虜にした。
その後、お笑い界の巨頭・松本人志が提示した『人志松本のすべらない話』によって、この概念は劇的な進化を遂げる。吉本興業が誇るトップ芸人たちがサイコロの目に導かれ、自らの実体験を語る。一見するとマニアックな個人攻撃やマイナーな失敗談が、圧倒的な描写力によって「誰もが共感できる普遍的な笑い」へと変換される。バラエティ番組におけるトークの価値を、単なる雑談から一級の芸術へと引き揚げた瞬間だった。