欧米政治の風景は、ここ数年で劇的に様変わりした。象徴的なのは、米国の政治シーンに君臨し続けるドナルド・トランプの存在感だ。彼の掲げる強烈なナショナリズムと反エリートのレトリックは、単なる一過性のブームではなく、米国の構造的な亀裂を浮き彫りにし続けている。
大西洋を渡った欧州でも、その勢いは止まらない。フランスではマリーヌ・ル・ペン率いる国民連合(フランス)が労働者階級や地方都市の支持をがっちりと固め、政権交代の現実的な選択肢として定着した。一方、ドイツのための選択肢(AfD)は旧東独地域を中心に猛威を振るい、戦後ドイツが守り続けてきた政治的タブーを次々と打ち破っている。
これらを駆動しているのは、巧妙に再定義されたポピュリズムだ。かつてのような粗削りな煽動ではない。生活コストの上昇や治安への懸念といった市民の切実な痛みに寄り添う「現実的リアリズム」の仮面を被り、中間層の懐へと浸透している。