「留置所(りゅうちしょ)」の正式名称は、刑事収容施設法において「留置施設」と定義されています。各都道府県の警察署の内部に併設されており、主に逮捕された被疑者が起訴されるまでの間、身柄を拘束しておくための施設です。
日常会話では「留置所」と「拘置所」が混同されがちですが、両者には法的な位置づけと管理体制において決定的な隔たりが存在します。拘置所は法務省(矯正局)が管理する国家機関であり、主に刑事裁判を控えた「被告人」や死刑確定者を収容する独立した専用施設です。一方、留置所は都道府県警察が管理しており、建前上は拘置所に送るまでの暫定措置として利用されています。
本来、身柄拘束は捜査機関から独立した法務省の拘置所で行われるべきですが、日本国内の拘置所は都市部に集中しており、全国の全被疑者を収容するキャパシティがありません。そこで刑事収容施設法第14条に基づき、警察署内の留置所を拘置所の代わりに利用する制度が認められています。これが日本の刑事司法において長年議論の的となっている「代用刑事施設(代用監獄)」と呼ばれる仕組みです。
留置所を管理するのは、事件の捜査を担当する刑事課や交通課ではなく、警察署内の留置施設管理課(警務部門)です。捜査部門による不当な自白強要や拷問を防ぐため、1970年代以降の制度改革により「捜査と留置の完全分離」が義務付けられました。看守を務める警察官(留置担当官)は捜査に一切関与せず、被疑者の身柄保護と逃走防止のみを任務としています。しかし、取調室と居室が同じ建物内にある構造そのものが、収容者に心理的な圧迫感を与え続けているという指摘は法曹界からも絶えません。