無期懲役と終身刑の違いは?日本に存在しない理由と仮釈放の衝撃実態

無期懲役と終身刑の違いは?日本に存在しない理由と仮釈放の衝撃実態

無期懲役と終身刑の違いは?日本に存在しない理由と仮釈放の衝撃実態について分かりやすく解説いたします。詳細な分析をお届けします。

ネット掲示板やSNSでは、今なお「無期懲役といっても15年くらい模範囚でいれば出てこられる甘い刑罰だ」という言説が散見されます。しかし、法務省が公表している保護統計や犯罪白書のデータを検証すると、この俗説がいかに現在の実務とかけ離れているかが浮き彫りになります。 法務省の公式統計によると、昭和40年代から50年代前半にかけては、確かに在所期間15年前後で仮釈放を許可された事例が多数存在しました。しかし、平成以降の厳罰化政策や被害者参加制度の定着を経て状況は一変しました。 近年における無期懲役の平均在所期間は35年を超え、直近の事案では40年以上の服役を経てようやく審査対象になるケースが大半を占めています。刑法28条が定める「10年」という数字は、あくまで審査を開始できる形式上の最低年数に過ぎず、10年や20年程度で仮釈放が認められる受刑者は現代の司法現場において実質的にゼロです。 法務省保護局による仮釈放の判断基準と審査は、極めて厳密なステップを踏みます。地方更生保護委員会による面接審査では、以下の条件が厳しく精査されます。 * 悔悟の情が真に深いか: 単に反省文を書くだけでなく、犯した罪の重大性を自己の言葉で客観視できているか。 * 再犯の危険性がないか: 出所後の社会環境、生活基盤、暴力性や衝動性の完全な喪失。 * 被害者感情への配慮: 2000年代以降に法制化された「被害者等意見聴取制度」により、被害者遺族の処罰感情が直接委員会に伝達される。遺族が「仮釈放に断固反対」の意思を示している場合、許可が下りる可能性は極めて低い。 * 引受人の存在: 高齢化した受刑者を社会で看取り、監督できる身元引受人が確保されているか。 その結果として生じているのが、「仮釈放者数と獄死者数の圧倒的逆転」です。法務省の発表資料を分析すると、近年における無期刑受刑者の仮釈放許可数は全国で年間わずか数人から10人前後にすぎません。それに対し、刑務所内で病気や老衰によって死亡する「獄死」の件数は毎年20〜30人前後に達しています。 現場の刑務官や矯正関係者の証言によると、「現在の刑務所内における無期懲役囚の居房は、さながら老人介護施設の様相を呈している」と語られます。歩行すらままならず、認知機能が衰え、自力での食事や排泄が困難になった高齢受刑者が車椅子で生活し、そのまま刑務所内の病棟で息を引き取る。これが、無期懲役の仮釈放実態の偽らざる真実です。

山田 真由
著者

山田 真由

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