2015年1月に通算11枚目のシングルとして世に放たれた『ヒロイン』は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の冬の風物詩的キャンペーン『JR SKISKI』のCMソングとして大抜擢され、爆発的なヒットを記録した。当時、CMのヒロイン役を務めたのは女優の広瀬すず。「答えは雪に聞け。」という強烈なキャッチコピーとともに、白銀のゲレンデで魅せた彼女のフレッシュな表情と、バックグラウンドで流れる切ないメロディが見事にシンクロし、日本中の視聴者の心に強い印象を残した。
だが、フロントマンであり全楽曲の作詞・作曲を手がける清水依与吏が後に明かしたところによると、この曲は単なるCM用のタイアップソングとして書き下ろされただけのものではなかったという。バンドとしての決定打となる冬の金字塔ラブソングを作り上げるべく、溢れ出る構想を何重にも推敲した末に誕生した渾身の一曲だった。普遍的なJ-POPとしての親しみやすさを持ちながら、彼らのアイデンティティであるロックバンドとしての泥臭い衝動をいかに融合させるか。清水依与吏はその絶妙なバランスを探るため、言葉の選定と旋律の構築に膨大な時間を費やしたのだった。
さらにプロデュースを担当した小林武史との共同作業も、楽曲に劇的な深化をもたらした。繊細なピアノの響きと包み込むようなストリングスのアレンジメントが加わることで、清水依与吏の紡ぐ等身大の歌詞の世界観が一層際立ち、聴き手の胸を打つ最高峰の冬ソングへと結実したのである。