1960年代半ば、日本の映画界は大きな変革期を迎えていた。ひし美ゆり子(当時は境谷地子)は東宝のニュータレントとしてデビューし、スクリーンへの第一歩を踏み出す。しかし、彼女の運命を決定づけたのは、急遽舞い込んだテレビドラマのオーディションだった。
『ウルトラセブン』のヒロイン、友里アンヌ隊員役は当初、別の女優がキャスティングされていた。クランクイン直前の降板劇により、急遽白羽の矢が立ったのが彼女だったのだ。運命の悪戯とも言えるこの交代劇が、日本の特撮史、ひいてはポップカルチャー史に残る伝説の始まりとなった。
タイトなウルトラ警備隊の制服をスマートに着こなし、時には優しく、時には凛々しく怪獣や宇宙人に立ち向かうアンヌの姿は、当時の子どもたちだけでなく、大人の視聴者をも虜にした。彼女が画面に登場するだけで、SF特撮という少し硬質な世界観に、温かみと華やかさがもたらされたのである。