昭和から平成、令和へと移り変わる中で、街の景色は一変した。高層ビルが立ち並ぶ都市再開発の陰で、創業半世紀を超える老舗喫茶店が直面しているのが「老朽化」と「継承」の壁だ。ビルの立ち退き要求やマスターの高齢化により、惜しまれつつ暖簾を下ろす名店も少なくない。
しかし、そこで終わらないのが名古屋の底力だ。ここ数年、地元の若手経営者やUターン組が歴史ある店を買い取り、伝統のレシピと内装をそのまま受け継ぐ「事業承継型リノベーション」が相次いでいる。赤い別珍(べっちん)のソファや琥珀色の照明といった昭和の美学を残しながら、決済システムをデジタル化し、SNSでストーリーを発信する。古き良き空間は、若い情熱によって奇跡的に息を吹き返しているのだ。