日本語の「すみません」は、呼びかけ、感謝、軽い謝罪、本格的なお詫びまでを一台でこなす万能ツールです。しかし、英語教育機関の調査や異文化コミュニケーションの現場検証によると、この「すみません=Excuse me」という直訳の思い込みが、多くの誤解やコミュニケーションエラーを生み出しています。
語源を紐解くと、「Excuse(許す・容赦する・免除する)」と「me(私を)」が組み合わさった表現であり、直訳すれば「私の非礼や割り込みをあらかじめお許しください」という意味になります。つまり、これから相手の注意を引いたり、相手の視界や動線を遮ったりする前に行う「事前のマナー宣言」なのです。
一方、私たちが日常会話で何気なく使う「Excuse me」には、ネイティブ特有の意外なニュアンスが含まれるケースが少なくありません。例えば、会話中に相手が信じられない失礼な発言をした際、眉をひそめながら語尾を強く上げて「Excuse me!?」と言えば、それは「すみません」ではなく「今なんとおっしゃいましたか?(聞き捨てなりません)」という怒りや反論の意思表示になります。単語の意味だけでなく、使われる文脈とトーンによって全く別の感情を伝える装置となる点を理解しておく必要があります。