地方都市の境界線が崩壊しつつある。環境省が取りまとめる速報値を見ても、東北地方の秋田・岩手・福島をはじめ、北陸、信濃路、さらには関東北部のベッドタウン周辺に至るまで、警戒情報は赤一色に染まりつつある。
かつて「緩衝地帯」として機能していた里山は、過疎化と耕作放棄地の増加によって藪と化し、熊にとっては街へと続く安全な回廊に変わった。北海道の札幌市郊外や旭川周辺では巨大なヒグマが幹線道路を横断し、本州ではツキノワグマがスーパーの駐車場や福祉施設に突入する事案が続発している。もはや山林との距離感だけで安全を測ることはできない。河川敷の緑地や高速道路沿いの防風林を伝い、熊は知らぬ間に市街地の中心部へと潜り込んでいるのだ。