かつて「女流棋戦は一般棋戦に比べてレベルが劣る」と見なされていた時代は完全に過去のものとなりました。その認識を根底から覆した象徴が上野愛咲美の圧倒的な戦闘力です。
「ハンマー」の異名を持つ彼女の碁は、鋭利な踏み込みと規格外の読みの深さで相手の大石を力強く仕留める剛腕スタイル。一般棋戦である「若鯉戦」での優勝や「竜星戦」での準優勝をはじめ、トップ男性棋士を相手に年間通算で5割〜6割に迫る対男性棋士勝率を幾度となく記録してきました。早碁における瞬発力と心理戦の強さは、屈強な男性九段をも震え上がらせる脅威となっています。
一方、藤沢里菜の強さは、祖父・藤沢秀行名誉棋聖の血を受け継ぐ天性の筋の良さに加え、現代囲碁の精緻なバランス感覚にあります。男性棋士との公式戦でも終盤の逆転劇を幾度となく演じ、一般棋戦の予選を勝ち抜いて本戦上位に進出する姿は日常茶飯事となりました。勝負どころでの冷徹な判断力と強靭なメンタリティは、性別の枠組みを軽々と飛び越え、日本囲碁界全体の牽引役として盤石の評価を得ています。