なぜ日本では定額食べ放題のことを「バイキング」と呼ぶようになったのか、その歴史は昭和の日本のホテル文化に深く根ざしています。
1957年、帝国ホテルの当時の総支配人であった犬丸徹三氏が北欧・スウェーデンを訪れた際、伝統的なスカンジナビア料理「スモーガスボード(Smörgåsbord)」に出会ったことがすべての始まりです。スモーガスボードとは、テーブルに並んだニシン料理や肉料理、チーズなどを各自が自由に取り分ける北欧伝統のおもてなし料理を指します。
この合理性と華やかさに着目した帝国ホテルは、当時の第11代料理長であった村上信夫氏らを現地へ派遣し、料理構成やシステムを徹底研究。1958年8月1日に日本初となる定額制食べ放題レストラン「インペリアルバイキング」をオープンさせました。
店名を決定する際、「スモーガスボード」という言葉が当時の日本人には発音しづらく馴染みにくかったため、社内公募を実施。当時上映されていた映画『バイキング』の豪快なイメージや、北欧=海賊(ヴァイキング)の連想が重なり、「バイキング」と命名されました。これが大ヒットを記録し、全国のホテルや飲食店へ波及した結果、「バイキング=食べ放題」という強固な和製英語が日本全国へ定着することとなりました。