失われた30年が生み出した最大の国内的悲劇は、雇用調整の防波堤として切り捨てられた就職氷河期世代の実態です。1990年代半ばから2000年代前半にかけて学校を卒業した世代は、新卒一括採用の門戸を極端に狭められ、数百社応募しても内定が取れないという過酷な選考を強いられました。
当時の特番インタビューや労働問題を取材したノンフィクションの手記には、「何十社もの面接で『あなたの存在価値はない』と言われ続けているように感じ、人間性を根底から否定された」「正社員になりたいと必死に訴えても、提示されるのは派遣や契約雇用の契約書だけだった」という、胸を抉るような生の告白が数多く記録されています。公の場の就職相談会で、若者たちが見せていた生気のない表情や絞り出すような声のトーンは、当時の過酷さを物語る何よりの証言です。
大手ネット掲示板やSNS上でも、「自己責任論という名の社会暴力に晒された」「結婚や出産を望むことすら贅沢だと諦めざるを得なかった」という当事者の痛烈な声が現在も後を絶ちません。新卒時に正社員の切符を逃した人々は、非正規雇用のループから抜け出せないまま40代・50代を迎えました。これは単なる個人のキャリアの問題にとどまりません。非正規雇用の固定化によって未婚化と少子化が急激に加速し、日本の将来人口そのものを激減させるという、国家の屋台骨を揺るがす深刻な爪痕を残したのです。