インターネット上の簡易動画や解説記事には、初心者向けと銘打ちながらも、工学的な観点から見ると推奨できない誤った情報が少なからず流通しています。編集部が検証した代表的な3つの誤解を是正します。
誤解1:「裏地なしのバッグの方が、工程が少なくて簡単」
これは最も蔓延している誤解の一つです。裏地を付けない場合、バッグ内部の縫い代がすべて露出するため、ジグザグミシンをかけるか、バイアステープで布端を包む「パイピング処理」、あるいは「袋縫い」を行わなければなりません。これらの端処理は均一に仕上げるのが非常に難しく、少しでも蛇行すると手作り感が露呈します。対して「裏地あり」は、内部の縫い代を完全に隠せるため、実は初心者にとって粗が目立たず最も手際よくきれいに仕上げられる工法なのです。
誤解2:「帆布やキャンバスなど硬い布には接着芯は不要」
生地自体に厚みがある帆布でも、荷物を入れた際の底抜けや、口元のヘタリを防ぐためには部分的な接着芯の適用が欠かせません。全体に貼るとミシンが通らなくなるリスクがありますが、「持ち手部分」と「バッグ口元の見返し部分」には、薄手の布製芯を挟み込むのが既製バッグの設計基準です。これにより、長期間使用しても持ち手が紐のように伸びきってしまう劣化を防ぐことができます。
誤解3:「マチのサイズは適当に角をつまめば作れる」
マチの横幅を広げると、その分だけバッグの「正面の横幅」と「高さ」が縮小します。例えばマチを10cm取ると、平置き時の横幅から左右5cmずつ、合計10cmが奥行きに取られ、高さも約5cm低くなります。この寸法変化を意識せずに適当なマチ幅で縫ってしまうと、「A4書類を入れるつもりだったのに底に引っかかって口が閉まらない」という致命的な設計ミスに繋がります。