メディアやSNSでは、頻繁にシンメトリー顔の芸能人として名だたる俳優やトップアイドルの名前が挙げられます。橋本環奈さんや北川景子さん、吉沢亮さんらの顔立ちは、ネット上で「奇跡の左右対称」と称賛される代表例です。しかし、実際の撮影現場を熟知するプロフェッショナルの視線は異なります。
女性誌や広告撮影で15年以上トップタレントを撮り続けるベテランポートレートカメラマンは、現場のリアルをこう明かします。
「何百人ものトップ女優やモデルをファインダー越しにミリ単位で観察してきましたが、完全な左右対称の顔を持つ人などただの1人もいません。むしろ、右側のフェイスラインがシャープだったり、左目の方がわずかに開きが大きかったりと、誰もが魅力的な『利き顔』を持っています。私たちが美しいと感じるポートレートの9割は、光の当て方(ライティング)やミリ単位のカメラアングル、髪の分け目の陰影計算によって生み出された『演出されたシンメトリー感』なのです」。
テレビ特番やメイキング映像で映し出されるタレントの素顔を仔細に観察すれば、笑った瞬間の口角の上がり方や眉弓の動きに豊かな個人差があることが分かります。あるベテランヘアメイクアップアーティストも自著のコラムで、「機械で作ったような均一な顔には観客を惹きつけるドラマが宿らない。ほんの少しの非対称が放つ『隙』こそが、スターのカリスマ性を決定づけている」と述懐しています。ネット上で拡散される「完全対称な芸能人」という言説は、巧みなメディア演出とデジタル補正が生み出した都市伝説に過ぎません。