全国各地の和菓子店やスーパーで親しまれているみたらし団子ですが、その原点となるみたらし団子発祥の地が、京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)境内にある「御手洗池(みたらしいけ)」です。土用の丑の日に行われる「足つけ神事(御手洗祭)」で知られるこの池から湧き出る水泡の姿をかたどり、神饌(しんせん)として神前に供えられたのが団子の起源とされています。
その伝統を大正11年(1922年)の創業以来、門前で守り続けているのが加茂みたらし茶屋です。同店の団子を観察すると、1本の竹串に刺さった5つの団子のうち、先頭の1玉だけが少し離れて刺されている特徴的な形状に気づきます。これには深い意味が込められており、人の身体(五体=頭と四肢)を表して無病息災を祈願したものという説や、水面に最初にポコッと浮かび上がった大きな泡とそれに続く4つの泡を表しているという説が受け継がれています。
下鴨神社のみたらし団子として親しまれるこの一串は、単なるスイーツにとどまらず、千年以上続く京都の信仰と風土が凝縮された文化遺産そのものです。歴史的背景を知った上で頬張ると、香ばしさの中に宿る奥深い物語が一層際立ちます。